顎関節症はいろいろな原因が積み重なって発病します。かつて、顎関節症は咬み合わせの異常が主原因といわれていましたが、研究が進んだ今日では、さまざまな因子の積み重ねによって発病すると考えられています。また、その多くは生活習慣病であり、以下の3つが主に挙げられます。
いろいろな因子が積み重なり、あごの耐久限界を超えたときに顎関節症が発症します。
1.不正咬合発生! |
2.不正咬合のため、通常の咬み合せでは歯がぶつかり合い、痛みが生じる。それを歯根膜が察知し、脳へ報告。 |
3.脳があごを動かす筋肉に、咬み合わせをズラす指令を発信。 |
4.脳の命令に従って筋肉が働き、上下の歯の咬み合わせがズレる。 |
5.その結果、歯に生じていた当たりはなくなる。 しかし・・・ |
6.あごをずっと一方にズラし続けなければならない頭や首の筋肉が疲労。 |
7.その疲労した筋肉を助けるため、肩が上がる。首も自然と反対方向へ傾く。 |
8.肩が一方へ上がった分、背骨上方が上がった肩の方へ湾曲。 |
9.背骨上方が一方に曲がったため、今度は体のバランスを取る都合上、背下部が上部とは反対方向へ湾曲。その結果、背骨が変に曲がることになる。 |
10.しかしそれだけでは、体は上がった肩とは反対方向へ傾き、まだバランスが取れない。 |
11.そこで今度は骨盤が傾き、左右のバランスを取る。これで歪んだ姿勢の一丁上がり! |
12.さて、この結果、体の各部では・・・ |
13.よけいな負担がかかり続ける頭部筋肉が疲労して、偏頭痛発生。また首の筋肉も疲労し、肩が凝る。首が凝ると、脳へ通じる血管が圧迫されて血液の流れが悪くなり、高血圧などが発生。 |
14.ついでに首の筋肉をかばうため、肩を持ち上げている肩周辺の筋肉も疲労して肩凝り発生。 |
15.曲がった背骨の、曲がりの頂点部分の骨が歪んだりズレたりして、腰痛やぎっくり腰、椎間板ヘルニアが発生。 |
16.体に生じるさまざまな症状に影響され、ノイローゼやヒステリー気味に。 |
顎関節症の治療は生活習慣のチェックから始まります。
つまり、原因となる日常生活の習慣的行動をしっかり認識して、それを取り除くような行動をすること(認知行動療法)からスタートします。
■認知行動療法
歯ぎしりやくいしばりなど、顎関節症の原因となる習慣的行動を自覚して、それを取り除くように行動しましょう。そのうえで、日常生活の中で「セルフケア」を行い、治療に参加しましょう。
「セルフケア」の方法
あごを安静にする
痛いことをしない
軽く開口
■スプリント療法
スプリントやマウスピースと呼ばれる装置を寝るときに装着することにより、歯ぎしりによる弊害を防止できます。
■薬物療法
関節に炎症が起こっている場合には、薬で炎症を鎮め、痛みをとります。
その他に、関節内に強い炎症があったり、癒着などが起きている場合には外科療法も行います。症状によって各種の治療を組み合わせて行います。歯科医師の指示のもとで正しい治療を行ってください。